ギムネマ・シルヴェスタ
ギムネマ・シルヴェスタ(Gymnema Sylvestre)は、中部及び南部インド、東南アジア、中国南部に自生するガガイモ科の蔓性植物で、スシュルタはこれを"マドゥメハ(Hadhumeha)を破壊するもの"と表現している。インドでは古くから糖尿病の治療に使われている。
また、この植物の葉の成分であるギムネマ酸は、甘味を感ずる味細胞の表面にある甘味受容体に親和性があるため、後から入ってくる甘い物、例えば砂糖の甘味が全く解らなくなるという不思議な現象がおこるので有名であり、構造式が前田守彦によって決定された。
日地康武らは、さらにギムネマ酸が小腸壁でのブドウ糖の吸収を抑制することを動物実験によって証明した。
今回われわれは、このギムネマ酸と他を調整した製剤を糖尿病患者42名(男28、女14)に投与した結果を報告する。
実験材料
1.年齢構成は、70歳代 - 1、60歳代 - 10、50歳代 - 20、40歳代 -7、
30歳代 - 3であった。
2.効果を認めたものは52.4%であった。
イ)血糖値:300以上あったもの
5週齢のICR系雌性マウスおよび4週齢のWistar系雌性ラット(共に日本クレア梶jを用い、健康状態が良好であることを確認して実験を開始した。
|
尿糖 |
血 糖 |
投与期間 |
使用薬 |
備 考 |
|
| 1 |
+++→ |
− 525 |
→ |
165 |
3M |
オ2T |
|
| 2 |
+++→ |
+ 516 |
→ |
171 |
1M |
ダ2T |
|
| 3 |
+++→ |
+ 311 |
→ |
193 |
1M |
ダ2T |
|
| 4 |
+++→ |
− 490 |
→ |
80 |
2.5M |
|
|
| 5 |
+++→ |
− 344 |
→ |
138 |
3M |
ダ2T |
肥満 |
| 6 |
+++→ |
+ 302 |
→ |
180 |
4M |
ダ2T |
|
| 7 |
+++→ |
+ 476 |
→ |
270 |
5M |
|
インシュリン少 |
ロ)血糖値:200以上あったもの
|
尿糖 |
血 糖 |
|
投与期間 |
使用薬 |
備 考 |
|
| 1 |
+ → |
− 208 |
→ |
80 |
|
6M |
オ2T |
肥満 |
| 2 |
+ → |
− 274 |
→ |
128 |
|
2M |
|
|
| 3 |
++ → |
− 294 |
→ |
116 |
|
3M |
|
|
| 4 |
+ → |
− 230 |
→ |
109 |
|
3M |
|
|
| 5 |
++ → |
+ 263 |
→ |
158 |
|
2.5M |
ダ2T |
|
| 6 |
++ → |
+ 277 |
→ |
161 |
→ − |
1M |
ダ2T |
インシュリン |
ハ)血糖値:110以上あったもの
|
尿糖 |
血 糖 |
投与期間 |
使用薬 |
備 考 |
|
| 1 |
− |
128 |
→ |
96 |
3M |
|
|
| 2 |
++ → |
− 148 |
→ |
100 |
1M |
|
|
| 3 |
+++→ |
− 140 |
→ |
115 |
1M |
|
|
| 4 |
− |
145 |
→ |
100 |
5M |
|
肥満 |
| 5 |
+ → |
− 195 |
→ |
117 |
5M |
|
肥満 |
| 6 |
− |
171 |
→ |
90 |
1M |
|
|
| 7 |
± → |
157 |
→ |
115 |
1.5M |
|
インシュリン |
| 8 |
− |
138 |
→ |
109 |
2M |
|
|
| 9 |
− |
178 |
→ |
91 |
1M |
ダ1M |
肥満 |
(注:オ、ダは経口の血糖降下剤)
以上のような成績であったが、ギムネマ酸とプルランが共に隋の腸壁通過を妨げる性質をもつことから、比較的軽症で肥満度の高いものに有効であるばかりでなく、経口の血糖降下剤と併用していけば、重症の場合にも血糖の上昇を防ぐために役立つものと思われる。
ただし、インシュリン依存糖尿病の場合は、低血糖の管理を十分にしなければならない。
42名中1名にそのような例があったことを以下に付記する。
患者は69歳女、20年前に発病、インシュリン300以上であった。ギムネマを投与すると一気に50以下となった。その後も同様のことがあった現在ではギムネマを少量含んだ配合剤を使用して、急激な低血糖を防ぎながら経過を見ている。
なお、無効例の20名については、飲酒癖があったり、運動量が足りないものが多いように思われる。酒類に関しては、このギムネマは作用場所が小腸であること、ギムネマが腸壁から吸収されるときに担体である尿蛋白質の存在とは全く無関係であることから、無効にならざるをえないという事情がある。
いずれにせよ、ギムネマ・シルベスタは糖尿病の治療並びに予防に有効なものと言える。
ギムネマエキス末・クチナシエキス末
【月見草種子油混合カプセルの薬理学的検討 】につて
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